【短編】若妻の電話
真昼の電話
トゥルルルル~♪
日曜の昼過ぎ、
のどかな団地の一室で電話が鳴った。
部屋で掃除機をかけていた若妻・淳子は、
掃除機のスイッチを切ると、受話器をとった。
「はい。高梨です」
「お義姉さん? 浩司です」
「あら、浩司くん。どうしたの?」
「いえ、ちょっと・・・」
「なぁに?」
「義兄さん、いる?」
「きょうは朝からゴルフよ。来週もだって」
「そうか・・・」
「なにか用なの?」
「あ、あの・・・」
ガチャリ・・・。
突然、電話は切れてしまった。
浩司が切ったのだ。
淳子は25歳。
商社に勤める夫、
明彦と結婚して2年になる。
夫は仕事柄帰りが遅く、
休みの日はゴルフなど接待が多い。
夜の甘い生活も多くはなく、
淳子は欲求不満かもしれない。
ただ、夫は優しく、
家庭生活にはなんの不満もなかった。
けれども、満たされない毎日の中で、
淳子は、ひとりで
自分を慰めることが多くなっていた。

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